●鳴かぬ蛍が身を焦がす

読み(ひらがな)

なかぬ ほたるが みをこがす。

意味

口に出して言わない者のほうが、心の中の思いは、さらに強くなってしまう、というたとえ。

解説

声に出さないで心の中で思いをめぐらしていると、外に出ていくことのできない熱い思いが、 やがて炎となって燃えていくようすをたとえたのだと思います。 昔の人は、蛍が声を出さないで、ただ光を出しているようすを見て、 激しい思いのため身を焦がすほどに光っていると考えたようです。 仏教では、煩悩のことを炎にたとえた「火宅の喩」というものがあります。 このことわざは、この「火宅の喩」の考え方がベースにあるのではないかと思います。 「鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」とも言い、また、 「音もせで思いに燃ゆる蛍こそ鳴く虫よりも哀なりけり」という短歌もあるようです。

重要語の意味

鳴かぬ=「なかぬ」と読み、鳴かない。声を出さない。  蛍=「ほたる」と読み、昆虫のひとつ。腹の部分に光る器官を持っている動物。げんじぼたる。へいけぼたる。  身=「み」と読み、からだ。  焦がす=「こがす」と読み、@火で焼いて黒くする。A強い思いで心を悩ます。  心の中=「こころのなか」と読み、感情、思い、意志などがあらわれるところ。  思い=「おもい」と読み、思うこと。想像、望み、恋心、心配、怒りなど。  熱い=「あつい」と読み、温度が高い。  炎=「ほのお」と読み、ものが燃える時に出るもの。  燃える=「もえる」と読み、@焼けて炎がでる。A思いが高まる。  光=「ひかり」と読み、空間を伝わっていく波のひとつ。明るく見えるもの。  激しい=「はげしい」と読み、程度が普通より強い。  煩悩=「ぼんのう」と読み、心をわずらわせ悩ませるもの。貪瞋癡。  火宅の喩=「かたくのたとえ」と読み、法華経・譬喩品で説いている煩悩についてのたとえ。 私たちが住んでいる三界は炎で燃えている家のようであるというたとえ。「三界の火宅」。  蝉=「せみ」と読み、夏の暑い時期に高い声で鳴く動物。  哀=「あわれ」と読み、かわいそう。悲しい。  短歌=「たんか」と読み、日本の古来より伝わる短い歌。五七五七七の計31文字より成る詩。 

いわれ(歴史)と重要度

宝物集(ほうぶつしゅう)。    堀川御所桜。   重要度=☆☆☆      難易度=少しむずかしい

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