●知音

読み(ひらがな)

ち いん。

意味

心の中までよく理解しあっている友人のこと。親友。知己。

解説

このことわざには、次のような古い言い伝えがあるようです。 『昔、中国の春秋時代に、琴をひくことが上手であった伯牙という人がいました。 彼には、その琴の演奏をよく聞いてくれた鍾子期という友人がいました。伯牙が高い山にのぼった気持を琴の音に出すと、 鍾子期は、「大きな山のようだ」と言い、また、水の流れを琴の音で表現すると、「川が流れているようだ」と言って、 伯牙の思っている気持を必ず言い当てました。鍾子期は伯牙の琴の演奏をよく理解していましたが、鍾子期が死んだ後、 伯牙は自分の琴の演奏を聞いてくれる人がいなくなったので、もう琴をひくことはしませんでした。』というお話です。 言葉では伝えられない、また、言葉では表現できない音楽の世界と、人と人の心のつながりの不思議さを感じます。 情景を音楽によって表現できるということは、人の心の中に音楽と情景をつなぐ仕組みのようなものがあるように感じます。 また、音楽を深くまで味わうには、繊細な心が必要なのかもしれません。

重要語の意味

知=「ち」と読み、しる。しっている。  音=「いん」と読み、おと。  心=「こころ」と読み、見たり聞いたりした時に、さまざまなことを行動しようとしたり思ったり考えたりするところ。  理解=「りかい」と読み、ものごとの意味を知ること。  友人=「ゆうじん」と読み、ともだち。  親友=「しんゆう」と読み、お互いに相手のことをよくわかっているともだち。とても仲がよいともだち。  知己=「ちき」と読み、自分のことをよくわかっている人。親友。  春秋時代=「しゅんじゅうじだい」と読み、紀元前770年から403年頃までの約360年間。  琴=「こと」と読み、桐(きり)などの木製の長い胴の上に弦をはって、かたい爪でひっかいて音を鳴らす楽器。  伯牙=「はくが」と読み、琴を上手にひく人。  鍾子期=「しょうしき」と読み、伯牙の友人。  演奏=「えんそう」と読み、楽器を使って音楽を表現すること。音楽をかなでること。  言葉=「ことば」と読み、口から発せられ人と人とのコミュニケーションのために必要なもの。 物事の区別をあらわすために音色の組み合わせによってさまざまな音の違いを定めたもの。  音楽=「おんがく」と読み、琴の場合は、言葉を使わずただ音の高さの変化を味わうこと。  不思議=「ふしぎ」と読み、言葉で考えてもよくわからないこと。  情景=「じょうけい」と読み、感動を起こすような山や川、海などのけしきや場面。  繊細=「せんさい」と読み、心の動きや感情などがこまやかなこと。  表現=「ひょうげん」と読み、感情などを音楽によって音にあらわすこと。  弦=「げん」と読み、琴などの弦楽器に使う細長い糸のようなもの。この糸の振動によって音を出すもの。 

いわれ(歴史)と重要度

列子・湯問(れっし・とうもん)。   重要度=☆☆☆   難易度=ふつう

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本の紹介
【音の不思議をさぐる】