●一字の師
読み(ひらがな)いちじの し。 |
意味詩などの文章を見て、不適切な部分を直してくれた師。 |
解説このことわざは、昔、詩人のところへ一人の僧が訪れた時、「早梅」という題名の詩を 示し、詩人がその詩を添削してくれたという故事によるものです。 僧が詩人に示した詩は、「まだ雪の深い頃、昨日の夜、梅が数本の枝に花をつけました」 という文章でしたが、詩人は、早春の頃だから、数本の枝よりも、一本の枝のほうが、 「早梅」という詩の題名にも適しているのではないかと助言をしてくれたようです。 その時に、僧は謙虚に、「あなたは私にとって一字の師であります」と言ったようです。 詩の中の一文字を変えたことにより、まだ雪の深い早春に、ようやく一本の枝に梅の花が 咲いたという味わい深い詩になったのだと思います。 |
重要語の意味一字=「いちじ」と読み、ひとつの文字。 師=「し」と読み、先生。文学など学問を教えてくれる人。 詩=「し」と読み、周りの社会や自然の中に起こることに触れ、自分が感じたことを言葉で示すこと。 文章=「ぶんしょう」と読み、まとまりのある文を集めたもの。 不適切=「ふてきせつ」と読み、文章などがそれにふさわしくないこと。 直す=「なおす」と読み、変える。もとのものと違うものにする。 詩人=「しじん」と読み、鄭谷(ていこく)。中国の唐の時代に詩を書いた人。 僧=「そう」と読み、斉己(さいき)。唐の時代に仏教を修めていた人。 早梅=「そうばい」と読み、早春の梅の花という意味があると思われる。早咲きの梅。 添削=「てんさく」と読み、文章などの不適切なところをけずったり加えたりして直すこと。 故事=「こじ」と読み、古い言い伝え。 梅=「うめ」と読み、早春に花をつける植物。落葉高木。 早春=「そうしゅん」と読み、春の初め。暦上では立春の頃か。 適する=「てきする」と読み、よく合う。 助言=「じょげん」と読み、あることに対してこうしたほうがよいのではないかと言うこと。 謙虚=「けんきょ」と読み、自分の能力などを自慢しないでつつしむようす。 |
いわれ(歴史)と重要度唐才子伝(とうさいしでん)。 重要度=☆☆☆ 難易度=ふつう |