●坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

読み(ひらがな)

ぼうずにくけりゃ けさまでにくい。

意味

ある人を憎いと思ってしまうと、その人に関係のある全てのものが、憎く思えてくるというたとえ。

解説

なぜ、坊主を例にあげて、たとえているのかを考えてみますと、お坊さんは、仏教にかかわり、 多くの人に、人生などについての説教をすることもありますので、その説教を嫌った人も多かったのでは ないかと考えられます。僧侶(そうりょ)のシンボルとして、明るく、派手な袈裟をつけていれば、 シンボルとしての袈裟を嫌った人も、いたのではないかと考えられます。 又、明治の初めには、廃仏毀釈運動に伴って、僧侶の立場が、危なくなり、仏教の批判も増えたため、 この句が、世間に広まったのかもしれません。

重要語の意味

坊主=「ぼうず」と読み、仏教を広める為に、お寺に住む代表者。そうりょ、じゅうしょく。  袈裟=「けさ」と読み、仏教の僧(お坊さん)が、着ている服の上に、左肩からかける長方形の布。  憎い=「にくい」と読み、ある人の態度や言葉が気に入らず、そのことが、嫌でしょうがないこと。  説教=「せっきょう」と読み、仏教で説かれていることを、一般の人たちに、 簡単に分かるようにするための説明。  廃仏毀釈運動=「はいぶつきしゃくうんどう」と読み、 尊王攘夷の考え方が元になり、明治初期に起きた仏教廃止運動。当時の王政復古宣言下、 神仏分離政策の影響で、各地の寺院や仏具、経文などの破壊活動が行われた。 

いわれ(歴史)と重要度

中国、前漢末、説話集、説苑(ぜいえん)。毛吹草(けふきぐさ)。   重要度=☆☆☆   

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袈裟(けさ)

けさとは、お坊さんが、服の上へつけて、僧侶(そうりょ)としての 身分を明らかにする為にあるもののようです。けさの元々の意味は、 仏教の悟りを得るため、出家した修行者が、身につけていた、服の 色のことを言っているようです。

仏教が始まった当初、お坊さんは、出家して、村人から、 食べ物をいただいたり、教えを広めたりして、修行をすることを勤めとしていました。 この時に、着ることを許されていた 「ころも」に、3つの種類があったようです(三衣・さんね)。 いずれも、今のものとは、比べものにならないくらい、粗末なものだったようで、 いくつかのボロ布をつなぎ合わせて作った、とても粗末なものであったようです。 在家者(ざいけしゃ)と区別するため、服の色を染めていたようです。 それが、大乗仏教の広まりとともに、はなやかさを増し、 とても鮮やかなものになっているようです。

袈裟
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