●壺中の天地

読み(ひらがな)

こちゅう の てんち。

意味

壺の中の別天地。仙境。また、酒を飲んで俗世間を忘れる楽しみ。

解説

つぼの中にある別の世界。仙人が住んでいるところ。また、 酒を飲んで日常生活の憂さを忘れてしまう楽しみ、のことのようです。 このことわざには次のような故事があります。 「昔、中国の市場で、よく効く薬を売る老人がいました。老人は、その利益を 貧しい人たちに施していたので、不思議に思った長房という人が、その老人の世話を やくようになり、やがて親しくなりました。ある日、老人は長房を店に招きました。 老人は店にある壺の中へ入って行ったので、長房もその後を追い、壺の中へ入っていきました。 壺の中は、大きく立派で美しい仙人の住む宮殿の世界になっていました」。 壺の中をモチーフにしたものに、寺院の円窓と十牛図に用いられる円相が、考えられると思います。

重要語の意味

壺中=「こちゅう」と読み、つぼの中。  天地=「てんち」と読み、天と地。空と地。世界。  壺=「つぼ」と読み、入口が少しせまくなった丸い入れもの。  別天地=「べってんち」と読み、俗世間から離れた別の世界。  仙境=「せんきょう」と読み、仙人が住んでいるところ。俗世間を離れたところ。  俗世間=「ぞくせけん」と読み、一般の人が住む普通の世界。  忘れる=「わすれる」と読み、思い出さない。  仙人=「せんにん」と読み、道教が理想とする人間観。俗世間を離れ山の中に住んで修行をしている者。  憂さ=「うさ」と読み、楽しくない気持ち。いやだと思うこと。  故事=「こじ」と読み、古い言い伝え。  市場=「いちば」と読み、小さな店が集まって商品を売るところ。  老人=「ろうじん」と読み、壺公(ここう)という仙人。  貧しい=「まずしい」と読み、お金がなく豊かでないようす。  施す=「ほどこす」と読み、あたえる。  長房=「ちょうぼう」と読み、中国の漢の時代の町の役人で市場を見守っていた人。  宮殿=「きゅうでん」と読み、王などが住む建物。御殿(ごてん)。  モチーフ=芸術を表現する時の動機となるもの。  寺院=「じいん」と読み、おてら。  円窓=「えんそう」と読み、丸い形をしたまど。まるまど。  十牛図=「じゅうぎゅうず」と読み、禅の境地が変化していく世界観を段階的に示した10枚の絵。  円相=「えんそう」と読み、心の中のようすをあらわす時に用いる丸い形。 

いわれ(歴史)と重要度

後漢書の方術・費長房(ひちょうぼう)。    重要度=☆☆☆    難易度=むずかしい

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