●長者の万灯より貧者の一灯

読み(ひらがな)

ちょうじゃの まんとうより ひんじゃの いっとう。

意味

お金持ちのたくさんの寄進よりも、貧しくても、真心のこもった、ひとつの寄進のほうが尊い、ということ。

解説

お金持ちが、世間体のために、たくさんのおくりものをするよりも、貧しい人が、たったひとつでも、心のこもったおくりものをするほうが 大切である、ということのようです。このことわざは、仏教に関するもので、阿闍世という王さまが、お釈迦さまに帰依し、自分の罪を くいあらためるため、たくさんの灯明を仏のために灯しているようすを見て、貧しい女性が、たったひとつの灯明を心をこめて灯したら、 その灯明が阿闍世王の万灯よりも長い時間燃えて、明け方まで消えなかった、という言い伝えによるもののようです。 阿闍世王は、仏に帰依することを民衆に大げさに示そうと、たくさんの灯明を灯したのに対して、貧者のひとつの灯明は、本当に仏に 帰依したいという思いから灯しているので、尊いということだと思います。短く、「貧者の一灯(ひんじゃのいっとう)」とも言うようです。

重要語の意味

長者=「ちょうじゃ」と読み、お金持ちの人。たくさんお金を持っているひと。  万灯=「まんとう」と読み、仏の前に灯すたくさんの灯明。万灯会。  貧者=「ひんじゃ」と読み、まずしいひと。お金が少ししかない人。  灯=ともしび。あかり。ろうそくに火をともすこと。  万灯会=「まんどうえ」と読み、自分の犯した罪を減らし懺悔するために一万本の灯明を仏のために灯し供養すること。  寄進=「きしん」と読み、お寺にお金や物をさし出すこと。  真心=「まごころ」と読み、ほんとうのこころ。うそのないこころ。  尊い=「とうとい」と読み、大切である。  世間体=「せけんてい」と読み、世間の人たちに対して見える形やようす。体裁。  阿闍世=「あじゃせ」と読み、お釈迦さんが生きていた頃のマガダ国の王。父を殺したことを後悔して後に仏教に帰依した王。  釈迦=「しゃか」と読み、真理をさとり人々の幸福のために説法し仏教を広めた最初の人。  灯る=「ともる」と読み、火が燃えて明るく光る。  帰依=「きえ」と読み、仏の教えを心から信じてその教えに従うこと。  罪=「つみ」と読み、人を殺す盗みをするなどの悪い行い。  灯明=「とうみょう」と読み、神仏にそなえるともし火。 

いわれ(歴史)と重要度

阿闍世王受決経。   重要度=☆☆☆   

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