●衆生済度

読み(ひらがな)

しゅじょう さいど

意味

迷い苦しんでいる人たちを救って、悟りへ導くこと。

解説

大乗仏教の菩薩が、迷い苦しんでいる人たちに、仏教の真理がどのようなものであるのかを 気づかせること、ではないかと思います。悟りとは、法を悟ることであり、基本的に誰もが 仏の境地に近づくことができる、という考え方があると思います。 この四字熟語は、お釈迦さんが亡くなって、数百年たった後、部派仏教の時代に、出家者を優位とし、 在家信者を顧みない小乗仏教を改めるために生まれた考え方です。この考え方は、大乗仏教の 最も大切なもので、般若経、維摩経、法華経、華厳経、浄土経は、この衆生済度の精神にもとづいて 作られています。四弘誓願の中では、最初に、「衆生は無辺なれども、誓って 度すことを願います=迷っている人々は数え切れないほど多くいますが、必ず悟りへ導くことを望みます」とあります。 また、お釈迦さんが亡くなる直前のことを書いた「ブッダ最後の旅」からも、 お釈迦さんが衆生済度を目的にしていたことを読み取れます。

重要語の意味

衆生=「しゅじょう」と読み、生きとし生けるすべての生き物。迷い苦しんでいる人々。  済度=「さいど」と読み、迷い苦しんでいる人たちを悟りの境地に導くこと。  衆=多くの人。多くのもの。  生=生きているもの。生き物。  済=なしとげる。利益になる。すくう。  度=悟りに導く。仏門に入らせる。僧または尼となる。  迷う=「まよう」と読み、どのようにしたらいいのかわからなくなる。悟りを得られない。  苦しむ=「くるしむ」と読み、心や体が思うようにならないため悩む。  救う=「すくう」と読み、迷いや苦しみを取り除く。  悟り=「さとり」と読み、真理を知ること。法に気づくこと。  導く=「みちびく」と読み、ある境地に至らせる。  大乗仏教=「だいじょうぶっきょう」と読み、部派仏教の時代に全ての人が救われるという考え方に基づき 在家者を取り込んだ新しい仏教。  菩薩=「ぼさつ」と読み、大乗仏教の信者たちがブッダの悟りを求める者の代名詞として定義したことば。  法=「ほう」と読み、仏教の真理。具体的には、縁起としての四諦である「苦集滅道」。  仏=「ほとけ」と読み、悟りを得た阿羅漢。釈迦。ブッダ。  境地=「きょうち」と読み、心の中の状態。  釈迦=「しゃか」と読み、紀元前500年ごろに悟りを得て衆生済度を目的に法を説いた聖者。  部派仏教=「ぶはぶっきょう」と読み、仏滅後、数百年が過ぎた時、上座部、大衆部から、さらに20の 部派に分裂した仏教で、出家者を中心とする仏教。  出家者=「しゅっけしゃ」と読み、家を持たず職業を離れて仏道修行だけをする人。  優位=「ゆうい」と読み、他のものよりすぐれている地位。  在家信者=「ざいけしんじゃ」と読み、家に住み職業を持ちながら仏教を信仰している人。  顧みる=「かえりみる」と読み、心配する。気にかける。  小乗仏教=「しょうじょうぶっきょう」と読み、自己の悟りだけを求め他を顧みない仏教。教えが 難しく戒律もきびしい。  般若経=「はんにゃきょう」と読み、最初に生まれた大乗のお経。ハンニャの智慧を説いたお経。  維摩経=「ゆいまぎょう」と読み、在家信者の維摩結が空の思想を説くお経。  法華経=「ほけきょう」と読み、永遠のブッダと女人成仏を説いたお経。  華厳経=「けごんきょう」と読み、ビルシャナ仏の悟りの境地を説いたお経。十地品、入法界品などから成る。  浄土経=「じょうどきょう」と読み、阿弥陀仏の極楽浄土とその救済を説くお経。無量寿経、観無量寿経、阿弥陀経。  精神=「せいしん」と読み、物事の基本となる目的。  四弘誓願=「しぐせいがん」と読み、大乗の菩薩が起こす四つの誓い。  ブッダ最後の旅=お釈迦さんが80才になって死を予感し霊鷲山から旅を始めクシナーラーという地で死を向かえ仏舎利(遺骨)が まつられるまでのことを書いたお経。大パリニッバーナ経ともいう。漢訳の長阿含経の遊行経が最も近いもの。(中村元訳・岩波文庫の本) 

いわれ(歴史)と重要度

法華経・方便品。    大乗経典。   重要度=☆☆☆       難易度=むずかしい。

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衆生済度