●日本の仏教   

読みと(出版社)

にほんの ぶっきょう。     (岩波書店)。

紹介と感想など

日本では、古くから外来思想である仏教を受け入れようと試みましたが、お釈迦さんの仏教と比較すると種々の相違点が見えてくるようです。 そのような視点からみた場合、日本仏教には盲点のようなものがあり、お釈迦さんの原始仏教との違いを知ることができる本だと思います。 この本は、「日本の仏教を築いた人々」と、「日本仏教の実態」と、「さまざまな流れ」の3部構成になっています。 日本仏教の実態について著者なりの見解で書かれた部分では、日本の仏教の良い点と悪い点を明らかにしています。 特に、親鸞と日蓮の批判は、いくどとなくつづられています。日本の仏教は、はじめ、国家(大和朝廷や豪族)が、その必要性から 仏教を取り入れ、僧侶の育成によって、国家の安定を目指していたようです。このため、奈良、平安時代の仏教は、国家の保護のもと、 発展し、多くの僧侶を生みだしたようです。その他に、日本仏教の実態として、呪術祈祷と死者儀礼をあげています。 呪術祈祷と死者儀礼は、鎌倉時代以降、国家の保護がうすくなった宗派などでは、収入源として大切なものとなったようです。 加持祈祷は、現世利益(この世での幸せ)を求める民衆が必要とし、また、死者儀礼としての葬式は、死者の魂をしずめ災いを招かないように するためと、祖先崇拝(祖先をまつって幸福を願う)の目的で始まったようです。その他に、日本仏教の実態として、「対立と妥協」、 「形式主義」をあげています。平安初期の空海は、密教のひとつの方法として呪術を用いていたようですが、音吉が思うに、 声を出す読経の習慣と、繰り返し同じ言葉を発する念仏は、密教の呪術の1つである呪文に起因し、やがて変化して定着していったのでは ないかと思います。この本の呪術に関する説明で、「多くの信者は現在でも仏教を呪術宗教として理解している。」と書かれています。 音吉が思うに、呪術と祖先崇拝は、お釈迦さんの説いた方法ではなく、お釈迦さんの本来の教えに導くための方便(分かりやすい別の方法) であると思います。この本には、聖徳太子のことが殆ど書かれていませんが、太子信仰が日本の仏教に与えた影響は、とても大きな ものがあると思います。   [総ページ数=208]

印象に残った言葉

「それは思考のからまわりにすぎない。(14)    「口先だけの指導をしていた親鸞や日蓮が仏教者の典型であるとは少なくとも私には納得できない。(42)    「現代社会でも、多くの人にとって、呪術が宗教の魅力になっていることは否定できない。(89)    「シャーキャムニの仏教はもとより呪術を教える宗教ではない。(168)    「それが仏教なのだ。周囲にいる人々の心に温かいものを感じさせ、お互いが幸福になるような世の中を築いていけばそれでよいのだ。(206)    アーノルド・トインビー。    檀家制度。    崇伝。    天海。    自他の理想。    砂漠の聖。    柱の上の聖。    年分度者。    呪術宗教。    聖物崇拝。    呪術信仰。    呪物。    護符。    戒律。    禅定。    智慧。    布施行。    上求菩提。    下化衆生。   

著者の紹介

渡辺 照宏(わたなべ しょうこう)。
1907年生まれ。   1930年・東京大学文学部インド哲学科卒業。   専攻・インド哲学、仏教。   1977年没


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