●捨て鉢

読み(ひらがな)

すて ばち。

意味

望みを失って、やけになること。

解説

このようになってほしいと思っていたけれども、それが叶わなくて乱暴なふるまいをしてしまうことのようです。 鉢という言葉は、お坊さんが托鉢をする時に使う食器ですが、仏教が始まった頃の托鉢は、出家者が必ず、しなければ ならない修行の一つでした。たぶん当時は、出家者が在家の信者の家々をまわって乞食をしていたと思います。 その時に、出家修行者が食事を受けることができなかった時、その食器である鉢を投げ飛ばしてしまう場合、 このように表現するのだと思います。つまり、僧侶が、もらえると思っていたものを、受け取ることができなかった時、 やけくそになって修行を放棄してしまうことを意味しているのだと思います。 仏教の古いお経には、このような「捨て鉢」を起さないように貪りと怒りを捨てよと教えています。 この修行の目的は、乞食によって修行者に生じる煩悩を取り除くことではないかと思います。

重要語の意味

捨てる=「すてる」と読み、いらなくなったので手放す。持っていたものを手からはなす。  鉢=「はち」と読み、僧侶が食事を取る時に使う入れもの。  望み=「のぞみ」と読み、のぞむこころ。このようになってほしいと思う気持ち。  失う=「うしなう」と読み、もっていたものをなくす。  やけ=思うようにならないため乱暴なふるまいをしてしまうこと。自暴自棄。  叶う=「かなう」と読み、思うようになる。のぞみどおりになる。  乱暴=「らんぼう」と読み、あらあらしくふるまうこと。  お坊さん=「おぼうさん」と読み、僧侶を親しみを込めていう言葉。  托鉢=「たくはつ」と読み、僧侶がお米やお金を受け取るために家々をめぐって歩くこと。  出家者=「しゅっけしゃ」と読み、お金もうけをやめて仏教の修行に専念し在家者を救う人。  在家=「ざいけ」と読み、お金もうけをしながら仏教を信仰し出家者に施しをすること。  乞食=「こつじき」と読み、仏教の修行者が在家者の家々をめぐって食事をこうこと。頭陀行のひとつ。  修行=「しゅぎょう」と読み、仏の教えを信じその真理を得るため仏の教えに従って行動すること。  仏教=「ぶっきょう」と読み、釈迦が説いた教え。煩悩の束縛から解放されて苦しみから抜け出すことを目的とする教え。  僧侶=「そうりょ」と読み、出家して仏教を修行している人。僧。  放棄=「ほうき」と読み、なげてすてること。していたことをやめること。  貪り=「むさぼり」と読み、欲が強くなった心。  怒り=「いかり」と読み、嫌いという思いが強くなった心。  煩悩=「ぼんのう」と読み、欲によって生まれてくるむさぼりやいかり、ぐち、うたがい、のぼせなどの心。 

いわれ(歴史)と重要度

参考にした本:雑阿含・施与経、 法句経・377番。   重要度=☆       難易度=むずかしい

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