●飲食男女は人の大欲存す

読み(ひらがな)

いんしょく だんじょは ひとのたいよく そんす。

意味

飲食をすることと男女の恋愛には、人間の心の最も重要な手掛かりとなる欲が存在している。

解説

このことわざは、礼記という本にある言葉で、この後に続けて、 「死亡貧苦は人の大悪存す。」とあります。つまり、 死亡と貧苦は人間の最もいやがるものである、ということです。 この2つの「欲と悪」は、七情に属し、感情の源と考えられているようです。そして、 この2つの心の様子は、心の奥に隠れて表にあらわれないため 知ることが難しいから、これら2つの情を正しく調えるために、 「礼」という徳が必要であると説いているようです。 礼は、儒教の五常のひとつで、仁とともに重要なものとされています。

重要語の意味

飲食=「いんしょく」と読み、飲むことと食べること。  男女=「だんじょ」と読み、男女の恋愛。  大欲=「たいよく」と読み、大きな欲。  存す=「そんす」と読み、存在する。  恋愛=「れんあい」と読み、男女が互いに求めあうこと。  心=「こころ」と読み、感情や考え、思いや意志などが生まれているところ。  手掛かり=「てがかり」と読み、きっかけとなるもの。いとぐち。  欲=「よく」と読み、食べ物や異性などをあきることなく繰り返し求める心。  礼記=「らいき」と読み、儒教の五経のひとつ。孔子の時代に説かれていた礼について記したもの。  死亡=「しぼう」と読み、死ぬこと。  貧苦=「ひんく」と読み、貧しく苦しいこと。  悪=「お」と読み、にくむこと。いやがること。  七情=「しちじょう」と読み、7つの感情。喜、怒、哀、懼、愛、悪、欲。  属する=「ぞくする」と読み、ある種類の中にある。  様子=「ようす」と読み、ありさま。  隠れる=「かくれる」と読み、はっきりみえない。  礼=「れい」と読み、儒家の目指す徳のひとつ。家族のあり方から政治の方法にいたる制度、道徳、約束ごとなど。 仁によって定まる道徳基準。  徳=「とく」と読み、人格形成に必要となるもの。  儒教=「じゅきょう」と読み、孔子の教えをもとにした学問。儒家の教え。  五常=「ごじょう」と読み、儒教の五つの徳。仁、義、礼、智、信。  仁=「じん」と読み、儒教で最も大切にされている徳。人をいつくしむ心。思いやりの心。  懼=「く」と読み、おそれ。 

いわれ(歴史)と重要度

礼記・礼運篇。   重要度=☆       難易度=むずかしい

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飲食
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