●婆子焼庵

読み(ひらがな)

ばす しょうあん

意味

仏道修行における愛欲の問題点を自覚するための禅問答の一つ。

解説

この公案の内容は次のようなものです。 『ある老婆が、一人の修行僧を世話していました。老婆は僧に食事を出す時、 少女に持って行かせました。ある時、老婆は、少女に僧を誘惑するように言いました。 少女は微笑みながら「私をどうしますか」と僧に抱きつきました。すると、 修行僧は、「私の心は枯れ木のように全く熱くならない」と断ったのです。 このことを聞いた老婆は、「私はこんな俗物を世話していたのか」と怒り、 僧を追い出し庵も焼き払ってしまいました。』という話です。 老婆は修行僧にどのような反応を期待したのでしょうか。私には分かりませんが、 仏道修行における愛欲の煩悩は、非常に苦しいものであり、これをどうとらえるかは 永遠のテーマかもしれません。密教で説く理趣経という経典には、男女の愛欲に関する ことが書かれているようです。

重要語の意味

婆子=「ばす」と読み、老婆と少女。  焼庵=「しょうあん」と読み、庵を焼くこと。  婆=ばば。老女。  子=むすめ。少女。こども。  焼=やく。火をつける。  庵=いおり。僧が修行をしながら住む家。  仏道修行=「ぶつどうしゅぎょう」と読み、仏教の方法によって行をおさめ身心を修練すること。  愛欲=「あいよく」と読み、異性に対する性的な欲望。異性を無意識に求める心。  自覚=「じかく」と読み、自分で知って納得すること。  禅問答=「ぜんもんどう」と読み、禅宗の僧が師から与えられた問いに対して答えを出すこと。  公案=「こうあん」と読み、禅で用いる問題提起。悟りに近づくための問答。  老婆=「ろうば」と読み、年をとって顔にシワが増え体も思うように動かなくなった女性。  修行僧=「しゅぎょうそう」と読み、仏教を修行している僧。  少女=「しょうじょ」と読み、十代の年の若い女性。  誘惑=「ゆうわく」と読み、心をまどわして性的な欲望へ導こうとすること。  微笑む=「ほほえむ」と読み、にっこりと笑う。  俗物=「ぞくぶつ」と読み、体裁ばかりを気にしているくだらない人間。  密教=「みっきょう」と読み、言葉で説くことが難しい仏の悟りを図などを用いてそこへ導くための教え。曼陀羅や法具などがある。  理趣経=「りしゅきょう」と読み、一切のものが本来清らかであることを説く経典。般若理趣経ともいう。真言宗で読誦される経典。 

いわれ(歴史)と重要度

道樹録(どうじゅろく)。    重要度=☆     難易度=むずかしい。    分類=仏教。

婆子焼庵


ワクチンの真実