●泥中の蓮

読み(ひらがな)

でいちゅうの はす。

意味

周囲の汚れた環境に染まらず、清らかな心で、人々を正しい方向へ導こうと、努力をしている菩薩の姿をたとえた言葉。

解説

まわりの良くない環境に影響されることもなく、清らかな心のままで、自分のまわりの人々が、煩悩の心を 起こさないように頑張っている仏教の修行者をたとえた言葉だと思います。 維摩経では、このような菩薩の姿が、全体を通していきいきと表現されています。 もとの意味は、泥の中でも、美しい花を咲かせる蓮の花を示しています。 小乗仏教では、自己の悟りの為に、出家して人里離れた山の中などに入って修行しますが、大乗仏教では、 仏道を成就するために、衆生と倶に、世間の中で努力することが理想とされるので、このように表現されるのだと 思います。一般的には、上記の仏教の内容が転じて、周囲の汚れた環境に染まらず、清らかな心を保って、 正しく生きているようすにたとえられるようです。

重要語の意味

泥中=「でいちゅう」と読み、どろのなか。水と土がまざってにごっているところ。  蓮=「はす」と読み、初夏に池や沼などに白や淡い赤い色の花を咲かせる水草。「はちす」とも読む。  周囲=「しゅうい」と読み、まわり。  汚れる=「けがれる」と読み、よごれる。正しさをなくす。悪くなる。  環境=「かんきょう」と読み、人などのまわりにある人や物など。その人に影響を与えるまわりのもの。  染まる=「そまる」と読み、あることに影響を受けて心の持ち方などが変わる。  清らか=「きよらか」と読み、けがれやよごれのないようす。  導く=「みちびく」と読み、よくなるようにさせる。ある方向へ向かわせる。  努力=「どりょく」と読み、目的のために頑張ること。  菩薩=「ぼさつ」と読み、仏道がどのようなものであるかを知り発心した人。  姿=「すがた」と読み、外から見たようす、かたち。  影響=「えいきょう」と読み、人や物などが他のものに変化を与えること。  煩悩=「ぼんのう」と読み、むさぼり、いかり、ぐち、うたがい、おごりなど。  頑張る=「がんばる」と読み、一生懸命になる。  修行者=「しゅぎょうしゃ」と読み、修行をする人。  維摩経=「ゆいまぎょう」と読み、在家信者である維摩居士が空の思想を説いたお経。初期の大乗経典。  小乗仏教=「しょうじょうぶっきょう」と読み、自己の悟りだけを求めて他者救済を伴わない仏教。  悟り=「さとり」と読み、煩悩を滅すること。  出家=「しゅっけ」と読み、世間を離れて僧になること。迷いの世間を離れて仏道に専念すること。  修行=「しゅぎょう」と読み、仏の教えに従って仏道を行ずること。  大乗仏教=「だいじょうぶっきょう」と読み、自己の悟りと他者救済を目的とした仏教。  仏道=「ぶつどう」と読み、仏教を実践するための方法。  成就=「じょうじゅ」と読み、目的とすることが完成すること。  衆生=「しゅじょう」と読み、世間の人々。  倶に=「ともに」と読み、いっしょに。  理想=「りそう」と読み、目的として最も完成度の高いこと。 

いわれ(歴史)と重要度

維摩経・仏道品。   法華経・従地涌出品。   古今和歌集・165番。    重要度=☆☆☆    難易度=ふつう

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