●食指が動く

読み(ひらがな)

しょくしが うごく。

意味

食べたい気持ちが起こること。転じて、物が欲しくなったり、何かを始めたくなることのたとえ。

解説

意味がよくわからない変わったことわざですが、次のような故事があるようです。 「中国の春秋時代、鄭(てい)という国に特殊な能力のある公子がいました。彼は、 めずらしい、ごちそうに、ありつけると、自分の人差し指が、ぴくりと動くのです。 ある日、宮中に出向いていた時、人差し指が動いたので、ごちそうにありつけると 思ったら、料理人が、すっぽんを切りさいている所へ出会しました。」 左伝の中では、このことがきっかけで、鄭の君主が公子に殺されたと書かれています。 食指の動いたことが、大きな事件になってしまったので、故事として残ったのではないかと思います。 春秋時代には、周の統一から国の中が分裂していき、多くの小国が生まれ、諸侯が、それらの 国を治めていたようです。

重要語の意味

食指=「しょくし」と読み、人差し指(ひとさしゆび)。  動く=「うごく」と読み、あるものが変化する。場所を変える。  食べる=「たべる」と読み、食べものを口に入れてかむ。  気持ち=「きもち」と読み、心の持ち方。心の中の思いや感情。  起こる=「おこる」と読み、うまれてくる。あらわれてくる。  転じて=「てんじて」と読み、意味が変化して。  欲しい=「ほしい」と読み、自分のものにしたい。  始める=「はじめる」と読み、今までしていなかったことをする。  故事=「こじ」と読み、古い言い伝え。  春秋時代=「しゅんじゅうじだい」と読み、周の終わりから戦国時代までの約360年間。 東周の時代。12の列国があった。  鄭=「てい」と読み、春秋時代の諸侯の国のひとつ。戦国時代の初めに韓に滅ぼされる。  特殊=「とくしゅ」と読み、普通とはちがっていること。  能力=「のうりょく」と読み、いずれかのことをするちから。  公子=「こうし」と読み、国の君主の下にいる人。諸侯の子。  ありつく=手もとにやってくる。手に入れる。  宮中=「きゅうちゅう」と読み、宮殿の中。  出会す=「でくわす」と読み、たまたま行きあう。  左伝=「さでん」と読み、春秋左氏伝。  君主=「くんしゅ」と読み、春秋時代に国を治めていた代表者。諸侯。  周=「しゅう」と読み、紀元前1100年頃から前256年までの王朝。西周と東周の時代に分かれる。  分裂=「ぶんれつ」と読み、いくつかに分かれる。  諸侯=「しょこう」と読み、春秋時代に周の天子から土地をゆずり受けて、その地を治めていた君主。 

いわれ(歴史)と重要度

春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)・宣公四年。   重要度=☆☆☆       難易度=むずかしい

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食指
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