●大義親を滅す

読み(ひらがな)

たいぎ しんを めっす。

意味

大義のためには、親子兄弟の情も犠牲にする、ということ。

解説

国家や君主につかえる者は、自分の子や兄弟への強い思いやりさえも、なくさなければならない場合がある、ということのようです。 音吉としては、あまり好ましい言葉とは思いませんが、次のような古い言い伝えがあるようです。 『昔、中国の春秋時代に衛(えい)という小国がありました。その国のシュウクという人は、衛の国の君主を殺して、 自分がその国の君主になりました。しかし、国の中を治めようとしても、うまくゆかず、友人の父であるセキサクという人に相談しました。 セキサクは、「周王に会うために陳へ行って君主にたのんでみたらどうか」と言ったので、シュウクは陳へ行きました。 その時、セキサクは、シュウクが君主を殺したことを陳の人たちに伝え、彼を殺させました。シュウクを助けて君主を殺した仲間は、 セキサクの子であったので、セキサクの子も殺されました。』つまり、セキサクという衛の国の家臣は、自分の君主が殺されたことに対して、 親と子の強いつながりを犠牲にしてまで、大義をつらぬいたということです。

重要語の意味

大義=「たいぎ」と読み、@国家や君主に対して尽くすべき道。A人間として行うべき大切なこと。  親=「しん」と読み、@親子兄弟の強いつながり。A親しいこと。  滅す=「めっす」と読み、滅する。ほろぼす。けす。なくしてしまう。  親子兄弟=「おやこきょうだい」と読み、父と子、母と子。兄と弟。親しい間柄。  情=「じょう」と読み、他人を思いやる心。なさけ。  犠牲=「ぎせい」と読み、ある目的のために大切な人やものを失うこと。  君主=「くんしゅ」と読み、国を代表し最も地位の高い人。  春秋時代=「しゅんじゅうじだい」と読み、紀元前770年から紀元前403年ごろまでの時代。周の勢いがおとろえて、諸侯が多くあらわれ 小さな都市国家に分裂していた時代。  衛=「えい」と読み、春秋時代に諸侯が治めていた都市国家の名前。  シュウク=衛の国の身分の高い人。  セキサク=衛の国につかえていた人。衛の国の家臣。  周王=「しゅうおう」と読み、周の王。当時、中国で最も地位の高い人。君主の力は弱いながらも各地の諸侯をまとめていた人。  陳=「ちん」と読み、春秋時代に諸侯が治めていた都市国家の名前。 

いわれ(歴史)と重要度

春秋左氏伝・隠公四年。   重要度=☆☆☆      難易度=ふつう

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大義
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