●三界の火宅

読み(ひらがな)

さんがい の かたく。

意味

苦悩に満ちた人間の世界をあらわした言葉で、炎に包まれた家をたとえにしている。

解説

このたとえは、苦悩に満ちた世界に住んでいることを知らない人々を救い出そうとした、お釈迦さんの思いをあらわした言葉の一部で、 法華経の中で繰り返し使われています。三界は、欲界、色界、無色界という人間が認識できる全ての世界で、火宅は、 人間の苦しみや煩悩を燃えさかる家にたとえた言葉のようです。法華経・譬喩品(ひゆほん)の中では、火宅のたとえとして 次のように語らています。「ある町に、大きな家族を持った長者が古い大きな家に住んでいました。ある日、その家が突然、火事になり、 長者は家の外に出ましたが、長者の子供たちは、何が起こっているのかわからなく、家の中で遊んでいます。そこで、父である長者は、 子供たちが、ほしがっていたおもちゃが外にあるぞ、と子供たちをさそい出し、無事に子供たちを火事から救うことができました。」 この中で、父である長者をお釈迦さんとしますと、子供たちは、苦しみがどのようなものなのかを知らない世間(三界)の全ての人たちを 意味しているようです。火という煩悩の炎が出ていることに気がつかないようすをたとえているのだと思います。 法華経は、お釈迦さんが直接説いたものではないようですが、原始経典、阿含経の中にも同じような記述があるようです。

重要語の意味

三界=「さんがい」と読み、この世界を心の持ち方によって3つに分類したもの。欲界、色界、無色界。  火宅=「かたく」と読み、苦しみに満ちたようすを燃えさかる家にたとえたことば。  苦悩=「くのう」と読み、苦しみ悩むこと。煩悩によって生じる心の痛み。  炎=「ほのお」と読み、ものが燃える時に出す光と熱。熱(貪り)を持って途切れることなく光がゆらゆらと変化(無常)し続ける現象。  たとえ=あることを説明するためにわかりやすいことを例にあげて言うこと。  欲界=「よくかい」と読み、欲にとらわれ欲から離れられない境界。  色界=「しきかい」と読み、欲は離れているが色(肉体と物質)にとらわれ色から離れられない境界。  無色界=「むしきかい」と読み、欲と色を離れた境界。三界の中では最も清らかな境界。  煩悩=「ぼんのう」と読み、人間に苦悩を生じさせるもの。むさぼり、いかり、おろかさ。  法華経=「ほけきょう」と読み、難しいお釈迦さんの教えをわかりやすいたとえを用いて説明している書物。七つのたとえが有名。 お釈迦さんが説いた書物ではないが長い間読まれ信仰の対象となったお経。  長者=「ちょうじゃ」と読み、お金持ちで福徳のある人。  原始経典=「げんしきょうてん」と読み、お釈迦さんが説いた教えをその後の弟子がまとめたもので、最も古くお釈迦さんの教えに近いと考えられている書物。 阿含経や法句経などが知られている。 

いわれ(歴史)と重要度

法華経・譬喩品。   雑阿含経・示現経。   法句経。   重要度=☆☆   

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三界
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