●維摩経講話

読みと(出版社)

ゆいま ぎょう こうわ。     (講談社)。

紹介と感想など

維摩経とは、紀元後100年頃に創作された大乗経典のようです。物語の設定は、お釈迦さんが生きていた頃、出家をしないで俗人として生活をしている仏教信者の維摩居士が主役となって、 お釈迦さんの弟子や菩薩たちを相手に大乗仏教とは何かを説明しようとしたもので、煩悩こそが悟りへつながる大切なものであるということを説こうとしているお経のようです。 煩悩がなければ悟りもない、ということです。 このようなお経が生まれた背景には、当時(釈尊滅後300年後頃)の仏教が、本来のお釈迦さんが求めていた衆生救済という目的をはずれ、出家者だけが権力をにぎり、 自分の利益(悟り)を得るために修行していたので、在家信者がこれを反発し、このような物語が生まれたのではないかと思います。 在家信者の中には、出家者より優れた慈悲のこころをもち、世間を浄化するために努力をしていた人たちが、何人かいたのではないかと思います。 その中のひとり、維摩居士をモチーフにして作られたのが、このお経ではないかと思います。このお経は、仏教の基本がある程度、理解できていないと 少し難しいかもしれません。特に音吉の印象に残ったところは、文殊菩薩が維摩の病気見舞いをする問疾品です。 なぜ、維摩が病気にならなければならないのかを考えてみますと、(大乗)仏教の本質が見えてくるのではないかと思います。   [総ページ数=323]

印象に残った言葉

聖徳太子。    煩悩即菩提。    遊戯三昧。    問疾品。    維摩会。    仏国品。    仏土。    無尽灯。    大乗起信論。    汚泥の蓮華。    因縁和合。    十の善法。    衆香国。    少欲知足。    法供養品。    十二因縁。   

著者の紹介

鎌田 茂雄(かまた しげお)
1927年、神奈川県生まれ。駒澤大学仏教学部卒業。東京大学大学院博士課程修了。 文学博士。専門は中国、朝鮮仏教史。2001年逝去。


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