●凝っては思案に能わず

読み(ひらがな)

こっては しあんに あたわず。

意味

物事に凝りすぎると、冷静な判断ができなくなり、よい考えが浮ばなくなる、ということ。

解説

物事に夢中になりすぎると、感情に動かされ心が落ち着かなくなり、よい考えが思いつかない、ということのようです。 「凝る」という言葉には、たくさんのものが集まって、かたまるという意味もありますから、ある事に夢中になって、 さまざまな思いにとらわれ、心が落ち着かなくなることを言うのだと思います。つまり、「凝る」とは、雑念の伴った 執着心のことではないかと思います。執着心は、主客が2つに分かれ外にあるものを追い求める心であるため、五感の影響を 受けやすく心がざわめき、冷静な判断ができなくなるのだと思います。それでは、冷静な判断を出すためには、どのように したらいいのでしょうか。それは、正しい精神集中である三昧の心で思案することと思います。そのためには、 主客をひとつにして自分と外の世界が一体化した心の状態が必要になると思います。執着心と三昧の心は、とても似ているので、 この2つは、紙一重の関係にあると思います。また、このことわざは、「凝っては思案に余る」とも言います。

重要語の意味

凝る=「こる」と読み、@あることに夢中になる。A寄り集まってかたまる。  思案=「しあん」と読み、考え。どうしたらいいのかを考えること。  能わず=「あたわず」と読み、することができない。  能う=「あたう」と読み、できる。することができる。  物事=「ものごと」と読み、ものとこと。いろいろなもの。  冷静=「れいせい」と読み、心が静かで落ち着いていて感情に動かされないこと。  判断=「はんだん」と読み、ものごとを自分なりに見て考えを決めること。  考え=「かんがえ」と読み、ものごとについて筋道をつけ答えを出そうとすること。  浮かぶ=「うかぶ」と読み、心の中に考えやイメージなどがあらわれる。  夢中=「むちゅう」と読み、あることに心がとらわれイメージが次々にあらわれる。あることに心がとらわれ我を忘れる。  感情=「かんじょう」と読み、悲しんだり怒ったり喜んだりすること。五感によって生じる思い。  雑念=「ざつねん」と読み、精神の集中をさまたげるさまざまな思い。  執着心=「しゅうちゃくしん」と読み、主客を伴う精神集中。六根に依存した精神集中。  主客=「しゅかく」と読み、自分と外の世界。主観と客観。  五感=「ごかん」と読み、人が外の世界から受ける5つの感覚。視覚、聴覚、味覚、臭覚、触覚。  精神集中=「せいしんしゅうちゅう」と読み、精神をひとつにすること。心をひとつにすること。  三昧=「さんまい」と読み、主客のない無我の精神集中。正定。  紙一重=「かみひとえ」と読み、わずかなちがい。 

いわれ(歴史)と重要度

仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)。    参考文献:参禅入門。    重要度=☆☆☆   難易度=むずかしい

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凝る
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