●空花乱墜

読み(ひらがな)

くうげ らんつい

意味

現実を見誤ること。

解説

空花は「空華」とも書き、仏教語です。大空の中に実際には存在しない 幻の花を見ていることであり、現実はすべて実体のないものであるけれども、 それを正しく認識できていないことをたとえているようです。また、 仏の境地から見た空花と凡夫の境地から見た空花は、違うものであり、 この四字熟語の場合は、凡夫が物事を誤って見ていることをあらわしている ようです。つまり、翳りのある眼で見ている時は、仏の境地としての 空花は、みだれて、その働きを失ってしまうということだと思います。 参考までに、草枕の一節をのせておきます。 「ただ、一翳眼にあって空花乱墜するが故に、俗累の羇絏牢として絶ち難きが故に」。

重要語の意味

空花=「くうげ」と読み、@そらの中に見える幻の花。Aとらわれのない心で見る真実の花。  乱墜=「らんつい」と読み、みだれおちること。みだれておとろえること。  空=そら。実体がないこと。  花=はな。  乱=みだれる。  墜=おちる。うしなう。おとろえる。  現実=「げんじつ」と読み、今ここで存在している事実。  見誤る=「みあやまる」と読み、まちがって見る。かんちがいをする。  仏教語=「ぶっきょうご」と読み、仏教で用いられることば。  大空=「おおぞら」と読み、地球をおおっている広いそら。上にある大きなそら。  幻=「まぼろし」と読み、現実には存在していないけれど有ると思うこと。  実体=「じったい」と読み、感覚ではとらえることが難しい普遍的なこと。  認識=「にんしき」と読み、心の中で認めて知ること。  仏=「ほとけ」と読み、さとりを得た者。ブッダ。  境地=「きょうち」と読み、心の持ち方。  凡夫=「ぼんぷ」と読み、煩悩にとらわれて迷っている者。  誤る=「あやまる」と読み、まちがえる。  翳り=「かげり」と読み、暗くなって正しく見えていないようす。  眼=「まなこ」と読み、外を見る目。  草枕=「くさまくら」と読み、夏目漱石の初期の作品。  翳眼=「えんがん」と読み、かげりのまなこ。  俗累=「ぞくるい」と読み、世間のわずらわしいこと。  羇絏牢=「きせつろう」と読み、つなぎ引き留め出られない所。 

いわれ(歴史)と重要度

草枕。  沙石集・巻七。  正法眼蔵・空華。  円覚経。   重要度=☆☆       難易度=むずかしい。   熟語分類=仏教

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空花乱墜


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