●少欲知足

読み(ひらがな)

しょうよく ちそく

意味

あまり、いろいろな物を欲しがらず、現在の状態で満足すること。 欲望を全て、消してしまうのではなく、欲張らないで、与えられた現実を素直に受け入れること。

解説

この句は、仏教と道教が融合したような句と考えられます。 少欲は、@眼で見ること。A耳で何かを聞くこと。B鼻で香りをかぐこと。 C舌で食べ物の味を感じること。D体に心地よさを感じること。これら、5つの 事柄は、全て、自分の欲に通じるものであり、この5つの欲をできる限り小さく持ち、 それ以上を欲しがらないという意味で仏教的要素の強いことばです。 欲が多いと、ストレスの原因になりますから、ストレスを減らす意味でも、 欲を少なくすることが、大切なのかもしれません。また、 知足は、中国の古典、老子の中で表されている言葉で、現在、満たされている状態を 受け入れ、それに満足することのようです。物や異性を欲しがる欲や、有名になりたい欲、 偉くなりたい欲などにも用いられるようです。この句は、もともと、涅槃経にある説法、 「八正道」の一部の内容を、少し変えて、作り出された言葉ではないかと考えられます。

重要語の意味

少欲=「しょうよく」と読み、欲が少なく、今以上のものを欲しがらないこと。  知足=「ちそく」と読み、「たるを知る」という意味で、現状のままで満足すること。  欲望=「よくぼう」と読み、ほしいと思う気持ち。  欲張る=「よくばる」と読み、必要以上にほしがる。  現実=「げんじつ」と読み、現在いまここで起こっていること。  素直=「すなお」と読み、心が正しく相手を大切にすること。  ストレス=欲を妨げようとする力が加わるため心によくない思いが生ずること。  八正道=「はっしょうどう」と読み、お釈迦様が、説かれた、仏教の基本的な実践方法、 @正見。A正志。B正語。C正業。D正命。E正勤。F正念。G正定。 

いわれ(歴史)と重要度

中国の仏教の解説書、大乗義章(だいじょうぎしょう)13。   法華経。   雑阿含経。   重要度=☆☆

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八大人覚

日本の禅宗の僧、道元(どうげん1200-1253)という方が、書き残した書物に、 「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」というものがあります。 その中の、一つの章に、「八大人覚(はちだいじんがく)」という 章があり、この章に、「少欲」と「知足」ということばが、使われています。 その説明によると、お釈迦様が、入滅(この世を去る)直前に、 旅に出た様子をあらわした書物、「涅槃経」というものの中に、 八大人覚という言葉が、使われていると説明されていますが、 実際には、この内容は、中国の僧、慧遠(えおん523-592)という方が、 書きあらわした「大乗義章(だいじょうぎしょう)」という書物 より、引用されているもののようです。音吉が思うに、この 「八大人覚」という、仏になるための、8つの目覚めが、 原始経典に説かれている、「八正道」とほぼ、同じ内容では、 ないかと、考えています。

少欲知足

【仏教の法華経】