●借境調心

読み(ひらがな)

しゃっきょう ちょうしん

意味

よい環境を利用して心を調える。

解説

よい環境として考えられるものに、山深い静かな所や、人気のない海岸などがあり、 このような環境にふれることで心が調うということです。また、本を読んだり、 美しい絵画を見るのもよいかもしれません。清らかで自然な世界が、汚れてしまった 心を洗い流してくれるのだと思います。 弘法大師空海も性霊集の中で次のように語っています。 「心は境を逐って移る。境閑なるときは心朗かなり。=心は境に従って変化する。 境が静かでおだやかな時は心も晴々とする。」また、 外から影響を受ける身体を利用して心を調えるのが座禅ではないかと思います。

重要語の意味

借境=「しゃっきょう」と読み、境を借りる。環境を利用する。  調心=「ちょうしん」と読み、心を調える。  借=かりる。たすける。  境=環境。ところ。ありさま。  調=ととのえる。  心=こころ。精神。  環境=「かんきょう」と読み、まわりの世界。  利用=「りよう」と読み、使ってためになること。  心=「こころ」と読み、感情、思い、意志などが起きてくるところ。  調える=「ととのえる」と読み、乱れをなくして正しくする。  人気=「ひとけ」と読み、人のいるようす。  清らか=「きよらか」と読み、けがれていないようす。  汚れる=「けがれる」と読み、よごれる。きたなくなる。  空海=「くうかい」と読み、平安時代初期の真言宗の僧侶。日本の仏教に大きな影響を与えた人。  性霊集=「しょうりょうしゅう」と読み、空海の書き残した文集。弟子の真済(しんぜい)が空海の文章を集めてまとめたもの。  逐う=「おう」と読み、あるものに近づこうとする。したがう。  移る=「うつる」と読み、ものごとのようすが変わる。  閑=「しずか」と読み、物音がしないで落ち着いているようす。おだやかなようす。  朗か=「ほがらか」と読み、気持ちが晴々としているようす。軽安。  影響=「えいきょう」と読み、あるものが他のものに変化を与えること。  座禅=「ざぜん」と読み、姿勢を正しくし呼吸を観察することによって心を調える方法。 

いわれ(歴史)と重要度

菜根譚・後集四五。    性霊集・巻二。   重要度=☆       難易度=むずかしい。

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借境調心


【性霊集に学ぶ】