●大乗起信論    

読みと(出版社)

だいじょう きしんろん。     (岩波書店)。

紹介と感想など

仏教はお釈迦さんが悟りを開いて衆生を救済しようとしたことから始まった教えです。悟りとは煩悩の心を離れた清らかで理想的な 心の状態のことのようですが、どうして煩悩があるとだめなのでしょうか、それは仏教の真理のひとつ集諦で説く 「煩悩が苦しみを生む原因となる」からです。そして、この悟りの世界へ運んでくれる教えのことを「乗」と呼ぶようです。また、大乗には衆生心と言う意味もあり、 全ての凡夫を救う為にあるのが大乗という乗り物のようです。要するに煩悩から離れられない凡夫にも仏の性質としての心があると説くのが、 この大乗起信論のようです。仏教の立場から心の中のことをかなり詳しく説明しているので非常に難しく感じました。 凡夫の心にも仏の性質があるという考え方を如来蔵(にょらいぞう)と言い、本来全ての人の心は清浄なものであるはずなのですが、 凡夫は煩悩がある為、この自性清浄心(じしょうしょうじょうしん)という心に全く気づくことができないと説いているようです。 勿論、音吉も凡夫ですから、この清浄心が何なのか全く分かりませんが、そういう心があるのではないかとは思っています。 原文(漢文)読み下しは、なかなか難しいですが、現代語訳のほうを読むことによって多少理解ができました。 印象に残ったところは、「解釈分」の心についての細かな説明の中で、風と水と風相(波)を無明と清浄心と生滅心(煩悩)に喩えた説明。 「三大」の体大=仏の本体・真如と、相大=仏の特性・如来蔵と、用大=仏の作用・報身応身の説明。「修行信心分」の大乗の実践方法の説明。 「対治邪執」の仏の教えを誤って解釈している点を正す説明、などです。あまり知られていないようですが、この論書は、日本の仏教に大きな影響を与えたもののようです。   [総ページ数=312]

印象に残った言葉

心真如門。    心生滅門。    体大。    相大。    用大。    阿梨耶識。    三細。    六麁。    自性清浄心。    如来蔵。    報身。    応身。    因縁の和合。    無明。    法力熏習。    無明熏習。    妄心熏習。    真如熏習。    不覚。    始覚。    本覚。    無明業相。    能見相。    境界相。    智相。    相続相。    執取相。    計名字相。    起業相。    業繋苦相。    対治邪執。    施門。    戒門。    忍門。    止観門。   

著者の紹介

著者ははっきりしないようですが、インドで作られたのではないかと考えられているようです。

  • 著者:馬鳴菩薩(2世紀または5世紀頃の人)
  • 漢文翻訳者:真諦三蔵(499-569)インド婆羅門僧
  • 漢文読み下しと注:宇井伯寿(1882-1963)愛知県生まれ
  • 現代語訳:高崎直道(1926)東京都生まれ

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