●十牛図入門

読みと(出版社)

じゅうぎゅうず にゅうもん。     (幻冬舎)。

紹介と感想など

十牛図とは、仏教の禅の境地を理解する為に、たとえ話を用いて創作されたもので、10枚の絵から構成された図です。 十牛図は、中国の廓庵禅師(かくあんぜんじ)というお坊さんが、改良を加えたものが最もよく知られ、 日本でも室町時代頃から禅の中で用いられてきたようです。 この10枚の絵は、牛を飼いならす人である牧人(ぼくじん)が、失ってしまった自分の牛(本当の心)を 探しに出る場面から始まります。著者は、この始まりの第1図の尋牛(じんぎゅう)の場面の意味を、 「牧人が何も知っていない、無知である」と書いています。つまり、牛を飼いならす牧人は、自身のことを 何も知っていない、と説明しています。そして、著者は、この章の最初で述べている 「一人一宇宙」という言葉を、十牛図を理解する為のキーワードとして用いています。 音吉が思うには、この十牛図の第1図は、仏教を理解する上で、必ず通らなければならない重要な出発点であると思います。 このような問い掛けが、10枚の図となって続き、自分という存在の意味を、どう理解するのかを段階的に 図で示したものが十牛図です。この中で、特に印象深い図は、第8図の「人牛倶忘(にんぎゅうくぼう又は じんぎゅうぐぼう)」です。この図は、まるい円が、1つだけ描かれた「空一円相(くういつえんそう)」とも 呼ばれています。音吉が思うに、この図は、牧人が仏教の「空」を理解したという意味があるのだと思います。 そして、空を悟った後も、牧人の心の旅は、続いてい行くようです。 十牛図での、音吉の今の位置は、A見跡のあたりではないかと思います。 十牛図は、人生における教科書とも言われています。   [総ページ数=205]

印象に残った言葉

地球船ガイア。    三大目的。    自己究明。    生死解決。    他者救済。    煩悩。    @尋牛。    A見跡。    B見牛。    C得牛。    D牧牛。    E騎牛帰家。    F忘牛存人。    G人牛倶忘。    H返本還源。    I入廛垂手。    一人一宇宙。    回光返照。    正聞熏習。    悟後の修行。    自然破壊。    微細な煩悩。    自分と他の力。    不確定性原理。    電子の位置。   

著者の紹介

横山 紘一(よこやま こういつ)。
1940年、福岡県生まれ、仏教学者、立教大学名誉教授、専門は唯識学。


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