●あなたの知らない脳
読みと(出版社)あなたの しらない のう。 (早川書房)。 |
紹介と感想など本の題名が示す通り、私たちの脳の働きは、通常の意識状態では、考えもつかない仕組みによって成り立っているようです。 この本は、その事実を神経科学の立場から詳しく解説したものです。 副題は、「意識は傍観者である」とありますが、傍観者とは、ただ何もしないで見ているだけの人を意味します。 私たちの意識には、自分の知らない膨大な量の情報が蓄積されていて、それらが私たちの行動を支配しているというのです。 このことを著者は次のように書いています。「あなたの意識は、大西洋を横断する蒸気船に乗っている密航者のようなものだ。」 この考え方は、無意識を提唱する「唯識(ゆいしき)」に近いものがあります。つまり、著者の文章を唯識の観点から見ますと、 大西洋は唯識のアラヤ識に相当し、蒸気船は、唯識のマナ識を、密航者が六識をたとえているように感じます。 [総ページ数=393] |
印象に残った言葉錯視。 脳の舞台裏。 能動的視覚。 潜在的な偏見。 無意識の自己愛。 潜在的自己中心性。 自由意志。 遺伝子セット。 びっくりするほど気づかない(39)。 目は正しいところに向いているのに、脳がその刺激を見ていない(48)。 脳は大部分が閉鎖的なシステム(73)。 経験の大半は意識から隠されている(91)。 欲望ほど自然に思えるものはないが(117)。 生まれつき備わっている思考による誘導(118)。 生物は、それぞれ独自の環世界を持っていて(120)。 脳によって能動的に構築される(126)。 私たちは本能の環世界のなかで生きていて、、、、その環世界を知覚していない(138)。 行動とは内部システムどうしの争いの結果である(224)。 思考と呼ばれる大半は、認知の支配がおよばない水面下で起こる(225)。 私たちはアクセスできない微視世界の歴史の成果物なのだ(238)。 |
著者の紹介
デイヴィッド・イーグルマン。
訳者:太田 直子(おおた なおこ)、翻訳家。東京大学文学部卒。 |
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