●覆水盆に返らず

読み(ひらがな)

ふくすい ぼんにかえらず。

意味

一度、やってしまった失敗などは、もとには戻せない、というたとえ。

解説

このことわざは、一度、離婚してしまった夫婦の仲は、もとには戻らない、という意味もあります。 このことわざは、古い中国の言い伝えがもとになっていて、歴史のことを知らないと、そのいわれの 内容が少し難しいかもしれませんが、ことわざが生まれていった経過を書いてみます。 「中国の周の時代に、太公望として名をあげた呂尚という人が、若いころ貧乏なのに読書ばかりをして いたため、結婚した相手の女性は、いやけがさして離婚し、彼(呂尚)のもとを去ってしまいます。 呂尚が周の文王から、軍事に関する作戦を考える人として用いられ、周の国づくりに力を尽し役に立ったので、 斉の諸侯として領地を与えられました。その時、別れた妻が、復縁を求めてきましたが、太公望は、盆に入れた水を 床にこぼして、この水が盆に戻れば、再婚しよう、と言いました」という故事があるようです。呂尚は、 若いころに、貧乏をしていたけれど、周の文王にその才能を認められ、太公望として名をあげ領地を 持つことができるほど出世しました。その時の出来事を表したのが、このことわざのようです。

重要語の意味

覆水=「ふくすい」と読み、うつわからこぼれ出た水。  盆=「ぼん」と読み、物をのせるためのうつわ。  返らず=「かえらず」と読み、もとにもどらない。  離婚=「りこん」と読み、結婚した夫婦がその関係をなくすこと。夫婦の縁を切ること  周=「しゅう」と読み、中国の古代王朝。紀元前11世紀ころから始まる国。  太公望=「たいこうぼう」と読み、周の文王が渭水(いすい)で釣りをしていた呂尚と出会った時、 先代の君主である太公が望んでいた者であると、呂尚の才能を認め、周の軍師として採用されたということから太公望という。太公とは文王の父。  呂尚=「りょしょう」と読み、太公望。斉の基礎を築いた人。  結婚=「けっこん」と読み、男と女が同じ家に住み夫婦になること。  文王=「ぶんおう」と読み、周の基礎をつくった君主。古代における理想的な天子とされている。  斉=「せい」と読み、周の時代にあった地方の小さな国。武王により呂尚が封ぜられた国。  諸侯=「しょこう」と読み、封建時代に決められた土地を所有して、そこに住む人たちをまとめていく権力者。  復縁=「ふくえん」と読み、一度離婚した夫婦が、ふたたびもとの夫婦にもどること。  戻る=「もどる」と読み、もとの場所にかえる。 

いわれ(歴史)と重要度

拾遺記(しゅういき)。    重要度=☆☆☆    難易度=むずかしい

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