●無用の用
読み(ひらがな)むようの よう。 |
意味役に立たないと思われているものが、実は、大切な役割を果たしている、ということ。 |
解説このことわざは、道教の本、老子と荘子の中で使われているものです。 老子のたとえでは、器という入れ物を考えてみると、その器にものをとどまらせる空間は、 何もないけれど、そこにものを入れるという大切な役割がある、と説き、また、 部屋が部屋として役に立つためには、そこに空間がなければ部屋としての役目を果たせない、と説いています。 いずれも、空間という役に立ちそうもないものを例にあげて説明しています。また、 荘子では、材木として役に立たない木が、役に立たないため、切り倒されることもなく 長い間その命をつないで、大きな神木となったという、その神木としての役目をたとえにしています。 音吉が思うには、この自然の中で、役に立たないものなど存在しないということを、老子と荘子は、 主張しようとしているのではないかと思います。 |
重要語の意味無用=「むよう」と読み、役に立たないこと。 用=「よう」と読み、欲に立つこと。 役に立つ=「やくにたつ」と読み、必要としていることをはたすことができる。 実は=「じつは」と読み、ほんとうは。 大切=「たいせつ」と読み、大事。 役割=「やくわり」と読み、割り当てられた役目。 果たす=「はたす」と読み、なしとげる。 道教=「どうきょう」と読み、中国に古くからある宗教。老荘思想。 老子=「ろうし」と読み、中国の古い書物。道という考え方を主張するために作られたもので、八十一の詩から成る書。 荘子=「そうじ」と読み、中国の古い書物。戦国時代の思想家・荘子が書き残した書。 器=「うつわ」と読み、いれもの。花びんや茶わんなど。 空間=「くうかん」と読み、空気だけがあって他に何もないところ。 部屋=「へや」と読み、雨や風をさえぎり出入り口をつけた空間。 材木=「ざいもく」と読み、建物や家具などの材料となる木。 切り倒す=「きりたおす」と読み、立っているものを切ってたおす。 神木=「しんぼく」と読み、神が宿ると思われている木。 自然=「しぜん」と読み、地球に存在している全てのもの。 存在=「そんざい」と読み、ものや人間、動物、植物などがあること。 主張=「しゅちょう」と読み、自分の意見を強く言うこと。 |
いわれ(歴史)と重要度老子・十一章。 荘子・人間世(じんかんせい)。 重要度=☆☆☆ 難易度=むずかしい |
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