●耳を掩いて鐘を盗む
読み(ひらがな)みみを おおいて かねを ぬすむ。 |
意味自分では悪いことを、うまく隠せたと思っていても、広く世間に知れ渡ってしまうことのたとえ。 |
解説自分のやった悪いことは、誰にも分らないことだと思っていたけれど、実は、 他の人々に、しっかりと知られていた、というたとえのようです。また、 悪いことだと知っていながら、そのことを考えないで、その悪いことを行うことでもあるようです。 このことわざには、次のような故事があります。 「昔、ある男が、鐘を盗もうとしましたが、鐘が大きくて重いので、鐘を小さく割って持ち去ろうと 鐘をたたきました。すると、鐘が大きな音を出したので、他の人に聞かれると困ると思い、鐘の音が聞こえないように、 自分の耳をふさいで、鐘を盗みました。」 盗みをしていることを他の人に知られないようにするため、自分の耳をふさいでも、 音がまわりにひびいていることに気づかないで、盗みをするという愚かさは、自分を客観的に見ることの できないたとえを、分かりやすく示していると思います。 |
重要語の意味耳=「みみ」と読み、頭に2つあって音や言葉などを聞きとるところ。 掩う=「おおう」と読み、あるものなどに別のものを置いて、そこをふさぐ。かぶせる。 鐘=「かね」と読み、金属で作られた丸い形のもので音を出して時間などを知らせる道具。上からつるして音を出すもの。つりがね。 盗む=「ぬすむ」と読み、自分のものでないものを人に知られないように自分のものにする。 悪い=「わるい」と読み、よくない。 隠す=「かくす」と読み、他の人に分からないようにする。見えないようにする。 世間=「せけん」と読み、社会。人々が集まって生活をしているところ。 知れ渡る=「しれわたる」と読み、多くの世間の人々が知るようになる。 誰=「だれ」と読み、(特定、不特定にかぎらず)人を示す代名詞。 実は=「じつは」と読み、ほんとうは。 考える=「かんがえる」と読み、あることに思いをめぐらす。 故事=「こじ」と読み、古い言い伝え。 重い=「おもい」と読み、立ちあげるのが大変なようす。 割る=「わる」と読み、ひとつのものをいくつかに分ける。 持ち去る=「もちさる」と読み、物を持ち上げてそこから離れる。 困る=「こまる」と読み、つごうがわるい。 気づく=「きづく」と読み、意識されていない自分の立場を知る。 愚かさ=「おろかさ」と読み、おろかであること。 客観的=「きゃっかんてき」と読み、主観的なせまい見方ではなく普遍的な見方。 |
いわれ(歴史)と重要度呂子春秋(りょししゅんじゅう)。 重要度=☆☆☆ 難易度=ふつう |
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