●加持祈祷

読み(ひらがな)

かじ きとう

意味

病気平癒や災難の回避などを目的に、神仏に、その実現を願って祈ること。

解説

この四字熟語は、真言密教の現世利益を目的に始まった言葉で、具体的な方法として、護摩という修法が考えられます。 仏教の歴史から見ますと、古代の仏教は国家の平安を達成するために行われていましたが、 僧侶の力が強くなると、さまざまな問題が起こり、国家が新しい仏教を求めるようになりました。 平安時代の空海は密教によって、それまでの仏教とは違う、現世利益を目的とした新しい仏教を取り入れ、 貴族の間で広まっていったようです。この時に用いられた方法が、加持祈祷であり、これは、やがて一般庶民の 間まで広まっていったようです。お釈迦さんの説いた初期の仏教では、加持祈祷という方法はなく、 これは古代インドのヴェーダのマントラ信仰に由来しているものと考えられています。 仏教の基本となる考え方は、四諦ですが、一般庶民にとっては、難しい仏教の教理より、神秘的なものに ひかれてしまう傾向が強いので、加持祈祷が一般に広まっていったのは、自然の成り行きだったのかもしれません。

重要語の意味

加持=「かじ」と読み、@仏が衆生を守ること。A仏の力が行者に加えられて仏と一体化すること。 B神仏の加護を祈ること。  祈祷=「きとう」と読み、神仏に祈ること。古代インドのヴェーダのマントラ信仰に由来しているもの。  加=くわえる。さかんになる。  持=たもつ。もつ。  祈=いのる。神仏に福を願う。もとめる。  祷=いのる。まつる。神に幸せを求める。  病気平癒=「びょうきへいゆ」と読み、病気が治ること。  災難=「さいなん」と読み、よくないできごと。  回避=「かいひ」と読み、よくないことなどをさけること。  神仏=「しんぶつ」と読み、神と仏。  実現=「じつげん」と読み、実際にそのようになること。  願う=「ねがう」と読み、こうあってほしいと思う。  祈る=「いのる」と読み、手を合わせたりして神仏にお願いをする。  真言密教=「しんごんみっきょう」と読み、空海が中国から伝えた仏教。三密加持によって即身成仏を目的とする。  現世利益=「げんせりやく」と読み、祈祷などによってこの世で幸せになること。  護摩=「ごま」と読み、密教で行う儀式。壇に火を起こして仏に祈り現世利益などをお願いする方法。  修法=「しゅほう」と読み、密教で実際に行われる行法。  空海=「くうかい」と読み、平安時代の初めの僧。日本に密教を伝え広めた人。弘法大師。  ヴェーダ=古代インドのバラモン教の経典。  マントラ信仰=「まんとらしんこう」と読み、特定のある言葉には神秘的な霊力がありこの力を借りて目的を達成しようとする信仰。  四諦=「したい」と読み、お釈迦さんの説いた四つの真理、苦集滅道。  教理=「きょうり」と読み、宗教の基本となる考え方。  神秘的=「しんぴてき」と読み、神が宿っているようで普通に考えてもよくわからない不思議なようす。 

いわれ(歴史)と重要度

大日経(真言密教の即身成仏)。   重要度=☆☆☆       難易度=むずかしい

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加持祈祷