●頭剃るより心を剃れ

読み(ひらがな)

あたまそるより こころをそれ。

意味

外見より、精神が大切である、ということ。

解説

昔、僧侶になるためには、出家をして髪の毛を剃り、袈裟を着て、お寺に住まなければなりませんでした。 世間から見れば、髪の毛を剃り、袈裟を着ている人は、僧侶であることを意味していましたから、髪の毛を剃ることは、 僧侶になるために必要なことだったのです。しかし、このことわざの元となった短歌の作者は、頭の髪の毛を剃って、姿でだけ僧侶になるより、 心の中に生えている乱れた髪の毛を剃って、仏道に精進しなければならないと考えたようです。その短歌の作者とは、鴨長明です。 人はだれでも、目に見えることを重視してしまいますが、目に見えるものは、脳の中に映し出される心そのものです。 形式ばかりを大切にするのではなく、精神が正しく働くように、心の中の 汚れを取り除くことのほうが大切である、ということではないかと思います。

重要語の意味

頭=「あたま」と読み、かみのけ。あたまの上に生えている毛。  剃る=「そる」と読み、かみそりなどで髪の毛をその根もとから切り取る。  心=「こころ」と読み、感情、思い、考え、意志、認識など、精神の働くところ。主に脳がこれらをつかさどる。  外見=「がいけん」と読み、自分が他の外の世界を見ることによって起きているようす。脳の中で起きている現象を便宜上言葉にしたもの。  精神=「せいしん」と読み、人間の心。感情や思いなどの働きを管理制御しているところ。  僧侶=「そうりょ」と読み、出家をし髪の毛を剃り袈裟を着てお寺に住んで仏道を修行する人。  出家=「しゅっけ」と読み、迷いの多い世間を離れて仏道の修行に専念すること。  髪の毛=「かみのけ」と読み、頭の上に生えている細長いもの。  袈裟=「けさ」と読み、長い布や短い布を縫い合わせて作った僧侶の着るもの。僧侶を象徴する衣服。  短歌=「たんか」と読み、長歌という長い和歌に対して言う言葉。五七五七七の文字数を用いて表現する日本独自の短い詩。  仏道=「ぶつどう」と読み、仏の教えに基づいたさまざまな方法。八正道など。  精進=「しょうじん」と読み、努力。  鴨長明=「かものちょうめい」と読み、「方丈記」で有名な鎌倉時代前期の歌人。[1155-1216]。  重視=「じゅうし」と読み、大切なこととしてみること。重要なこととしてみること。  脳=「のう」と読み、頭の中にあり神経細胞が集まっているところで、生命維持(体の制御)、記憶、認識、判断、思考などの 働きをする最も重要な部分。  形式=「けいしき」と読み、外から認められるもの。外見。  汚れ=「けがれ」と読み、よごれていること。清らかでないこと。正しくないこと。 

いわれ(歴史)と重要度

鴨長明の短歌、「そりたきは心の中の乱れ髪、つむりの髪はとにもかくにも」= (とにかく頭の髪の毛は剃りたいけれど、その前に、心の中の乱れた髪の毛をそりたいものだ)。    重要度=☆☆☆

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