●悪人正機

読み(ひらがな)

あくにん しょうき

意味

悪人であっても、阿弥陀仏の本願によって救われる縁がある、ということ。

解説

この四字熟語は、「歎異抄」という本の次の言葉がもとになっているようです。 「善人なおもて往生をとぐ、いはんや悪人をや=善人でさえも往生をとげることができる。まして悪人はいうまでもないことである」。 仏教では、善を行って悪いことは、してはいけないという前提があり、戒律という厳しいきまりがあります。 つまり、僧侶として仏教を実践するには、戒律を守らなければなりませんが、浄土教では、凡夫、つまり戒律を守ることができない人であっても、 阿弥陀仏によって救われる縁がある、ということのようです。浄土教でやらなければならいことは仏の本願を信じ、ただ念仏を唱えることです。 また、善人であっても、善に固執してしまうと、善が悪になってしまう場合もあるので、阿弥陀仏を信じなさい、ということのようです。 つまり、悪人であっても、阿弥陀仏との縁があれば、救われるということであり、自力で仏を信じても、他力である本願のちからがないと、 信心も生まれてこない、ということですが、音吉としては、自力による信心も必要だと思います。

重要語の意味

悪人=「あくにん」と読み、悪を為す人。悪い心を持っている人。仏教の戒律を守れない人。  正機=「しょうき」と読み、正しい機縁。仏の教えを受けることのできる因縁。  正=ただしい。  機=はずみ。きっかけ。きざし。  阿弥陀仏=「あみだぶつ」と読み、西方極楽浄土にいる仏。すべての人を救うという誓願を立てた仏。  本願=「ほんがん」と読み、仏が一切の衆生を救うと決めた願い。  救う=「すくう」と読み、@苦しみをやわらげる。A悪人を正しい機縁に向かわせる。  縁=「えん」と読み、あることとのつながり。  歎異抄=「たんにしょう」と読み、親鸞(しんらん)の弟子、唯円が師の亡き後、教えが師の説いたものと異なっていることをなげいて、 それを正すために書いた本。  善人=「ぜんにん」と読み、自分の意志で善をなすことができると考えている人。  往生=「おうじょう」と読み、死んだ後、極楽浄土に生まれ変わること。  仏教=「ぶっきょう」と読み、紀元前500年頃、釈迦が説いた教え。四諦によって苦しみを解決する教え。  善=「ぜん」と読み、よいこと。  悪=「あく」と読み、わるいこと。  前提=「ぜんてい」と読み、あることを成り立たせる為にある条件。  戒律=「かいりつ」と読み、生活習慣を正すためのきまり。嘘を言わない、殺生しない、盗みをしない、男女の交わりをしない、など。  厳しい=「きびしい」と読み、ゆるみがない。  僧侶=「そうりょ」と読み、出家して仏門に入り仏教を修める人。  実践=「じっせん」と読み、実際に行うこと。  浄土教=「じょうどきょう」と読み、浄土三部経による教え。阿弥陀仏の本願を信じて念仏を唱えなさいと説く。  凡夫=「ぼんぷ」と読み、仏教を信じない人。仏教の真理を悟ることができない人。  信じる=「しんじる」と読み、仏の教えを受け入れてその教えに従う。  念仏=「ねんぶつ」と読み、「なむあみだぶ」と口でとなえること。  固執=「こしつ」と読み、自分の考えや方法などにこだわり固く守ってゆずらないこと。  他力=「たりき」と読み、仏の加護。  信心=「しんじん」と読み、信じるこころ。  機縁=「きえん」と読み、仏の教えを受けることのできる縁。 

いわれ(歴史)と重要度

歎異抄・三。   重要度=☆   難易度=むずかしい

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悪人正機