●受戒入位

読み(ひらがな)

じゅかい にゅうい

意味

懺悔をした後は、三宝に帰依し戒を受け、その戒を守ることによって、 仏と同じ立場になれるということを説いた修証義の第三章の名称。

解説

修証義・第二章が懺悔滅罪でしたから、それに続く第三章です。 以下に、修証義・第三章の抜粋の現代語訳をのせておきます。 「仏の弟子となるには必ず三帰による。いずれの戒を受けるにしても、 必ず三帰を受けた後に戒を受けることになる。 次には、三聚浄戒を受けなければならない。次には十重禁戒を受けなければない。 衆生が仏の戒を受ければ、すなわち諸仏の立場と同じになる。」
三帰とは三宝に帰依することで、「なむきえぶつ、なむきえほう、なむきえそう」と唱えます。 三聚浄戒とは、@悪いことをしない。A善いことをする。B世のため人のために尽くす。です。 十重禁戒とは、@殺生しない。A盗みをしない。B男女の関係を乱さない。Cうそを言わない。 D迷いの酒や思想をふりまわさない。E他人の過ちを言わない。F自慢しない。 G与えることを惜しまない。H怒らない。I三宝をそしらない。 です。 戒は、仏が身につけていた日常の習慣そのものであり、凡夫が戒を知ってまねをすることが 受戒になると思います。道元禅師は、坐禅と戒は同じくらい大切であり、禅戒一如という 考え方を残しています。戒を完全に守り切ることは、難しいことですから、 戒をしっかりと身につけ、仏と同じ地位に近づくために坐禅の修行があるのだと思います。 坐禅と戒には、八正道の要素が含まれていると思います。

重要語の意味

受戒=「じゅかい」と読み、戒を受持すること。  受持=「じゅじ」と読み、教えを受けて記憶すること。教えを受けてそれを守ること。  入位=「にゅうい」と読み、くらいに入る。同じ立場になる。同じ身分になる。  懺悔=「さんげ」と読み、自分のあやまちを認めて反省すること。  三宝=「さんぽう」と読み、仏と法と僧。ブッダ、仏の教え、仏教を奉ずる人々の集団。  帰依=「きえ」と読み、すぐれた者を信じて、それをたよりにすること。  戒=「かい」と読み、自分から望んで守るべきこと。三帰、三聚浄戒、十重禁戒。  修証義=「しゅしょうぎ」と読み、道元禅師の正法眼蔵より作られた比較的新しいお経。五章より成る。  抜粋=「ばっすい」と読み、書物の文章の中から必要な部分だけを抜き出すこと。  三帰=「さんき」と読み、三宝に帰依すること。南無帰依仏、南無帰依法、南無帰依僧。  三聚浄戒=「さんじゅじょうかい」と読み、3つの清らかな戒。  十重禁戒=「じゅうじゅうきんかい」と読み、10の大切な仏の持っている習慣。自ら守るべき10のおきて。  諸仏=「しょぶつ」と読み、もろもろの仏。過去に悟って仏となった人たち。  仏=「ほとけ」と読み、ブッダ。釈尊。おしゃかさま。  凡夫=「ぼんぷ」と読み、戒を受けていない者。  道元禅師=「どうげんぜんじ」と読み、日本曹洞宗の祖師。修証一等、禅戒一如、只管打坐などの禅風を残した禅僧。  坐禅=「ざぜん」と読み、禅宗で重視される修行法。結跏趺坐し息と体を調え心を修めていくこと。  禅戒一如=「ぜんかいいちにょ」と読み、坐禅を行っている時は戒を守っていることと同じであるということから示された。 正法眼蔵髄聞記にある考え方。  八正道=「はっしょうどう」と読み、四諦(苦集滅道)の道諦で、苦しみを滅し尽くして理想の境地に至るための八つの方法。  正法眼蔵=「しょうぼうげんぞう」と読み、道元禅師が弟子たちに説法した内容を道元が自ら書き残したもの。 

いわれ(歴史)と重要度

修証義・第三章。   重要度=☆       難易度=むずかしい。   熟語分類=仏教。

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受戒入位


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