●肉食妻帯

読み(ひらがな)

にくじき さいたい

意味

出家した僧侶が肉を食べ、妻をめとること。

解説

在家の仏教信者には妻帯は許されていました。また、部派仏教の出家者には 厳しい戒律があり、特に四つの波羅夷という重い罪があったようです。また、 大乗仏教にも梵網経で説かれた十波羅夷という戒があります。 肉食は、この梵網経にある四十八軽戒の食肉戒に触れるもので、妻帯は、 四つの波羅夷の婬に触れるものだと思います。 日本では、親鸞が肉食妻帯を公に表明していたようで、明治時代以降では、 殆どの宗派で、肉食妻帯が容認されたようです。 肉を食べることは、慈しみの心を小さくする行為であり、淫欲は、 貪と瞋の煩悩を増大させる原因と考えられていたので、これらの行為が 禁じられていたのだと思います。 また、僧侶が肉食妻帯をするようになった理由には、誰もが救われるとする 大乗仏教の影響が強かったと思います。

重要語の意味

肉食=「にくじき」と読み、鳥や獣、魚の肉を食べること。  妻帯=「さいたい」と読み、妻をめとること。  肉=にく。鳥獣の切った肉。  食=くう。たべる。  妻=つま。めあわせる。  帯=おびる。いっしょにつれて行く。  出家=「しゅっけ」と読み、世俗を離れて仏教修行者の仲間に加わること。  僧侶=「そうりょ」と読み、出家して仏教を学ぶこと。「侶」は仲間という意味。  在家=「ざいけ」と読み、出家しないで妻をもうけて普通の生活を行う者。  部派仏教=「ぶはぶっきょう」と読み、ブッダ滅後100年頃以降に仏教教団が上座部と大衆部に分裂し さらに多くの部派に別れていった初期の仏教。  戒律=「かいりつ」と読み、いましめとしてのきまり。習慣として身につけなければならないもの。  波羅夷=「はらい」と読み、煩悩によって罪を犯すこと。婬、盗、殺、妄の行為を犯すこと。 これらを犯すと教団から永久に追放された。  大乗仏教=「だいじょうぶっきょう」と読み、部派仏教の在家信者の中から生まれていった仏教。 全ての人が救われると説いた仏教で、中国を経由して日本に伝わった。  梵網経=「ぼんもうきょう」と読み、華厳経の菩薩戒の思想を発展させた経典。 出家、在家の区別なく戒を受けられる。鳩摩羅什が訳したと伝わっている。  十波羅夷=「じゅうはらい」と読み、菩提心に反する行為として定められた十のきまり。十重禁戒。  四十八軽戒=「しじゅうはちきょうかい」と読み、菩薩が守るべき48の戒。不敬師長戒、飲酒戒、食肉戒など。  食肉戒=「しょくにくかい」と読み、肉食を禁ずること。肉食の禁止は楞伽経の中で 「食肉の人は大慈の種を断ず」と説かれている。  婬=「いん」と読み、異性を淫欲の対象として行為をし受楽すること。  触れる=「ふれる」と読み、きまりに反する行為をする。  親鸞=「しんらん」と読み、浄土真宗の開祖。念仏「なむあみだぶつ」と唱えれば救われると説いた。[1173-1262]。  淫欲=「いんよく」と読み、異性の肉体を求めようとする欲。  貪=「とん」と読み、むさぼり。  瞋=「じん」と読み、いかり。 

いわれ(歴史)と重要度

不明。   重要度=☆     難易度=むずかしい    熟語分類=仏教

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肉食妻帯


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