●惻隠の心は仁の端なり

読み(ひらがな)

そくいんの こころは じんの たんなり。

意味

人の不幸を哀れみ、痛ましく思う心は、仁を身につける為の糸口である、ということ。

解説

よくないことがあって悲しい思いをしている人を、かわいそうだと思い、心配する心は、 儒教の仁という徳を得る為の始まりである、と言うことのようです。 孟子が、人間の心を善と見て、人間としての条件のひとつであるとしているようです。 仁の他に、義、礼、智の徳をあげ、この3つの糸口となるのが、羞悪、辞譲、是非の心としているようです。 惻隠、羞悪、辞譲、是非の4つの心を、四端(したん)と呼ぶようです。このような徳に近い人格を身につけた人が多くなれば、 世の中もさらによくなるのかもしれません。

重要語の意味

惻隠=「そくいん」と読み、心を痛めて心配すること。  惻=いたむこと。悲しむこと。  隠=心配すること。  心=「こころ」と読み、人の中にあり思ったり考えたりする所で目に見えないもの。精神のもととなる所。  仁=「じん」と読み、儒教で他人をいたわり大切にする心によって自己の心を完成するための徳。  端=「たん」と読み、糸口。はじめ。  不幸=「ふこう」と読み、よくないことがあって悲しい思いをしていること。  哀れみ=「あわれみ」と読み、かわいそうだと思う心。  痛ましい=「いたましい」と読み、哀れで気の毒。見ていられないほどかわいそう。  糸口=「いとぐち」と読み、ものごとのはじまり。てがかり。  孟子=「もうし」と読み、孔子の教えをもとに性善説を説いた儒家。[BC372-BC289]。  羞悪=「しゅうお」と読み、悪を恥じること。  辞譲=「じじょう」と読み、譲り合うこと。  是非=「ぜひ」と読み、善悪の見分け。  徳=「とく」と読み、心の中の道徳性。特に聖人などの優れた人格のようなもので、人の心に影響を与え ある方向へ導かせようとする力。 

いわれ(歴史)と重要度

孟子・公孫丑(こうそんちゅう)上の六。   重要度=☆☆☆

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【儒教の孟子】