●人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し

読み(ひらがな)

ひとのいっしょうは おもにをおうて とおきみちを ゆくがごとし。

意味

人の一生は、苦しく長いものであるから、忍耐と努力で、一歩一歩しっかりと進んで行かなければならない、という教え。

解説

徳川家康の遺訓の最初のことばで、重い荷物とは、「自分の思い通りにならないことに耐え忍ぶこと」 ではないかと思います。遺訓全文から考えられる具体的内容を書き出してみますと、 @急がない。A耐え忍ぶ。B怒りを敵とする。C自分を責めて他人を責めない。の4つになると思います。 これらの重荷の具体例は、ことわざにもありますので、例をあげてみます。 @「急がば回れ」、「急いては事を仕損じる」  A「堪忍の忍の字が百貫する」、「ならぬ堪忍するが堪忍」、「堪忍は一生の宝」  B「短期は損気」、「怒りを遷さず」  C「人の七難より我が十難」、「我が身の臭さ我知らず」。 この遺訓は、家康が残したことばではないとする説が強いようですが、戦乱の世を終わらせた家康の忍耐と努力を分かりやすく示した内容ではないかと思います。 なお、遺訓の詳しい文章は、「怒りは敵と思え」のコラム欄を参考にして下さい。

重要語の意味

一生=「いっしょう」と読み、生まれてから死ぬまでの間。  重荷=「おもに」と読み、@重い荷物。A苦しいこと。  負う=「おう」と読み、せおう。背中の上の方に荷物などをのせる。  遠き道=「とおきみち」と読み、きょりが長い道。  如し=「ごとし」と読み、、、、と同じようなものである。  忍耐=「にんたい」と読み、のぞみや怒りなどを耐え忍ぶこと。がまんすること。  努力=「どりょく」と読み、できるかぎりのちからをつくすこと。  徳川家康=「とくがわいえやす」と読み、若い頃人質として過ごし忍耐と努力をつらぬき江戸時代へ導いた武将。  遺訓=「いくん」と読み、故人が残した教え。「ゆいくん」とも読む。  耐え忍ぶ=「たえしのぶ」と読み、苦しいことなどをこらえる。がまんする。  急ぐ=「いそぐ」と読み、早くしようとする。あせる。  怒り=「いかり」と読み、思い通りにならないことなどに対して、いやだと思いその気持ちを外にあらわす。  敵=「てき」と読み、自分をだめにしてしまうもの。  責める=「せめる」と読み、あやまちなどを悪く言う。とがめる。  説=「せつ」と読み、学者などが考えたこと。  戦乱=「せんらん」と読み、戦争や争いが多く起きて世の中が乱れていること。  詳しい=「くわしい」と読み、細かいところまであらわされている。  参考=「さんこう」と読み、あることを理解する時に他の内容などを利用すること。 

いわれ(歴史)と重要度

徳川家康の遺訓の冒頭の一節。   論語・泰伯(たいはく)。   重要度=☆☆☆    難易度=むずかしい

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